6.日々の手入れとシーズンの終い方
追肥はシーズン中に1~2度、これも店の指導通りの時期に量を守って与えます。
水は鉢底から余分な水が滴るくらいたっぷりと与えます。
以後、毎朝・夕に水遣りしてください。盛夏になり夕方までにカラカラになるようなら、先のペットボトル給水器を用意して刺しておきましょう。葉陰ができるまでにペットボトルを立てると日光で温まり、湯をかけていることにもなりかねないので注意しましょう。
ペットボトル給水器
⑨ ツルの誘導と「摘心」、および花実の摘み取り
ツルが伸び始めたら全体にまんべんなく広がるように、毎日ツルの方向を誘導してやります。絡みついた尖端はゆっくり緩めながら解かないとちぎれてしまいますので、気を付けましょう。葉を付けながら1mくらいまで伸びたら、一度先端の芽を摘んでやります。これは、摘心といって、これをすることでツルの分岐を促してやります。日を置いて様子を見ながら、必要に応じて分岐先でも2~3度繰り返します。
摘芯後、分岐の始まったツル
また、花が咲いたり小さな実が着いたら、まずは迷わず摘みます。水分と栄養分を葉に集中させるためです。葉がネット全体に繁茂するまでは収穫したい場合も我慢しましょう。ひとつくらいのお試しは、成長のスピードなどを経験しておく意味ではいいと思います。実を引きちぎるときは、ツル本体を痛めないように付け根を押さえてゆっくりやってください。不安なら剪定鋏を使います。
ゴーヤの花に蝶々。他にも蜂などの虫によって受粉
≪ヒント≫
● 花や実は陽の当たる側に多く着きます。葉陰に注意しましょう。
● 繁茂して着果が分かりにくくなったら、朝夕の水遣りの時にカーテンを軽くゆすってみると、実が付いている場合抵抗感があったり、周囲とは違う不規則な揺れ方をしたりします。番線のたわみも目安となります。
● 収穫を目的とするかどうかは別として、熟した果実を見つけたら早めに摘み取ります。ゴーヤのようにはぜたり、あるいは腐ったりします。
ちなみに、ゴーヤは摘んでおいてもいずれはぜます。
(左)熟したゴーヤ (右)はぜたゴーヤと種
●ツルが伸びてネットからはみ出したら、ゆったりと曲げてネットの方向に戻すようにUターンさせてやります。見た目にはツルの網がダイヤ型になるような感じで方向を変えてやり、空白を埋めるように積極的に向きをコントロールしましょう。
⑩ シーズンの終い方、次シーズンへの準備、ほか
a)シーズンの終い方
日差しが恋しい季節になったらカーテンを外します。
まず、ツルを根元で裁って1~2週間放置し、葉を全て完全に枯らします。枯れてしまえば畳んだ時かなりコンパクトに出来ますから、廃棄しやすいのです。
●枯れた葉は、気になるなら順次裁ち落としてもよいのですが、ツルが生きている限りは萎びても落葉はしませんから、実と同様に無理にちぎってツル本体を痛めないように注意しましょう。
シーズンの終了までの主な作業ポイントはここまでの内容でほぼすべてです。
あとは、毎朝夕の水遣り、肥料の仕様書に沿った追肥、そして、注意深い摘果・収穫やツルの誘導が日課となります。
水遣りの度に観察していると、盛夏の実の成長の早さは、驚くと思います。
また重ねて、【葉陰にはご用心!】
なお、自然に枯れても萎れるだけで葉は落ちにくいのですが、根を断ってカラカラになると葉が乾いて脆くなりますので、なるべくそっとネットごと床面に下ろします。
全体を軽く丸めてから、大きなゴミ袋などに端から詰め込みながら、袋の中で潰して砕いて行くと、後の掃除が楽です(ツルとネットは一体化していますので、廃棄は各自治体のルールに従ってください)。
早めのシーズン仕舞いで下したカーテン
枯らさないと秋口でもこのボリューム
≪注意点≫
● 花受けネットを張り出して設置された場合は、冬季は必ず畳んで取り込んでください。目が細かい分、降雪があると積もって重みでたわみ、雪の塊を落下させたり、最悪ネットごと落下します。
≪ヒント≫
● 翌年の仕込みの時には、一旦土をプランターから出して篩にかけます。底部には不織布のような根がびっしりと張っていますし、全体の土を混ぜ返して空気に触れさせ、市販の土の再生剤を適量加えると、土が蘇り連作障害にも効果があります。
●オフシーズンにはプランターの土に雑草が生えたりしますが、なるべく丁寧に抜いておきましょう。鋤き込んで肥料にするという考え方もあるようですが、冬の間に丁寧にやっておかないと、春に土づくりで篩掛けする時に目詰まりして邪魔になります。
b)次シーズンへの準備
基本的には、苗、ネットと結束バンドは毎年交換。番線は毎年か2~3年に一度、傷み具合を見て交換します。前年の実績から補助支柱を増やしたり、補強のために番線を張ったり、全体を見直し改善しましょう。
●土の再生
土は、鉢底石ごと全部篩分けして、石と根を取り分けます。土には「再生材」を適量混入し、プランターに石を戻し土を入れ直せばリサイクルできます。
直径30cmくらいの「小型のふるい」、スコップと、ふるった土を受けるための1m角位の「小型のブルーシート」、「土の再生材」などが新たに必要になります。肥料や土も、必要に応じて補充します。
以上が、事例に基づいたグリーンカーテンづくりのススメ方です。言葉にすると伝わりにくい部分も多いと思いますが、ご容赦ください。また、繰り返しになりますが、特に下記の項目は十分なご理解をお願いします。
≪実施の大原則≫
集合住宅では諸々のローカルルールを守り、近隣や家族の安全に十分配慮する中で、あくまで自己責任で計画・設置し、しっかり維持管理してください。
ここで紹介した方法やヒントは、必ずしも皆さんに当てはまるものではなく、実績のある参考事例として適宜応用策を考えてみてください。
●!注意点!●
高層階での設置は、残念ながらここではお勧めできません。強風の影響、万一の落下の危険性などリスクがより高いからです。低層階も含めて、実施される場合は、個別に相応の危険性に十分配慮して万一の備えをし、個人の責任で行ってください。
本記事は、実施事例に基づいた初心者向けのアドバイス集であり、すべての設置条件を満たすものではありません。また、植物の成育を保証するものでもありません。
すべての作業はご自身の判断および責任において行うものとし、その結果生じたできごとについて、筆者および樹木・環境ネットワーク協会は一切責任を負うものではないことを、あらかじめご了承ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
皆さんの取り組みに期待しています。
では、グリーンカーテンで暑い夏を心地よく過ごしましょう!
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