標高930mの奥山から地元の街路樹まで 大川英登さん
標高930mの奥山から地元の街路樹まで、
現役時代より忙しい日々を送っています。
知らなかったことを知っていくのは
ものすごく楽しい。
50歳になって、定年後は何をしようかと考えるようになった頃、新聞でグリーンセイバーのことを知りました。もともと植物に興味があり、大学では農学部で育種遺伝学を専攻するかたわら植物調査をしたりしていましたから、これだ、と思って99年にベイシック、2000年にアドバンスを取得。それから京都・岩倉での活動、交野市の交野山(こうのさん)森林公園の植生調査などを経て、今は御杖村、和歌山、久宝寺緑地で活動しています。他にも、(公益社団法人)大阪自然環境保全協会の自然観察インストラクターとして観察会に参加したり、万博記念公園で昆虫調査と植物調査をやったりしているので、現役中より忙しいくらいです。
サラリーマン時代は、日曜日に山へ行って活動するのがストレス解消になっていました。何より、それまで知らなかったことを知っていくのがすごく楽しかったんですね。最初は昆虫なんてほとんど知らなかったんですが、わからないものは写真を撮って帰って調べて、というのを繰り返すうちに、今では少なくとも万博公園内で出てくる昆虫はだいたいわかるようになりました。
グリーンセイバーの勉強をすると
見えてくることがある。
去年から、自宅近くの街路樹や公園の植え込みの手入れもやっています。市の管理では、植え込みを一定の高さに刈り揃えるだけなので、根本のネザサが残ってしまうんです。それが夏にグーッと伸びて覆いつくし、植え込みのシャリンバイはほとんど枯れてしまいました。日陰になるので光合成ができないんです。これはいかんということで、去年は私ひとりで一株ずつ丁寧に刈ったんですが、ひとりではたいへんなので、今年は天王寺区に頼んでボランティアを紹介してもらい、5人ぐらいでやっています。
行政は業者に依頼したら任せっきりです。ある公園では、大きなクスノキの陰になるところに桜の苗木を2m間隔ぐらいに植えていました。公園作りの知識のない人が、何も考えずにやったとしか思えず、結局枯れてしまいました。そういう状況が、グリーンセイバーの勉強をしていると見えてくるんです。
実はこの間、生玉公園に行ったら、竹が刈ってありました。刈っているところを見ていないのでわからないですが、私達がやっていることをわかってもらえたのかもしれません。
フィールド活動もそうですが、作業そのものはつらいです。植え込みの手入れも、しゃがみこんで一株ずつ刈るので、腰も痛くなります。でも、木が成長していく姿を見たり、植え込みのツツジが立派に咲いているのを見ると、ああやってよかったなと思います。都会でもそういう風に手入れしてあげると、ヒラドツツジの1区画がひとつの生態系をなしているはずなんです。
皆さんにひとこと!
基本的な知識を身に付けると、ひとつひとつの緑が違って見えます。里山まで行かなくても、身近なところでひとりでも始められます。そのためにも、グリーンセイバーの勉強をするのはいいことだと思います。
(2012年1月発行 聚レター別冊 グリーンセイバー資格検定特集号より)
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