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2019年4月 1日 (月)

自然を感じる時間をつくる 高田晶子さん・善行さん

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「自然と和の雑貨店 和気楽(わきらく)」と「和気楽にじいろプログラム」をベースに(※)、多彩な活動をされている高田晶子さん。ご主人の高田善行さんも一緒に、お話を伺いました。
※取材当時

興味がない人も振り向いてくれる
いいね、を発信していきたい。

 


病気をきっかけに
自然と出会いなおす。

 川崎市の多摩丘陵で生まれて、お隣の農家で夏野菜を収穫させてもらったり、鳥やタヌキがいたりといった環境で育ちました。あたりまえすぎて特に意識したこともなかったのですが、25歳の時に乳がんを発症。ショックで悶々としている時期に北海道や屋久島に行く機会があり、あらためて自然と出会いなおしたという感じです。北海道の大沼公園で駒ケ岳を見た時に、あ、生きてていいんだという思いがこみあげてきて、ポジティブになることで少しずつ元気になっていきました。

 その頃、友人の誘いでネイチャーゲームリーダーの講座を受けて、ボランティアとして活動を始めました。ネイチャーゲームは五感を使った体験や喜びがメインなのですが、自然の知識もないと参加者を満足させられないので、グリーンセイバーも取得。自分が体験するだけではなく、誰かに自然を体験してもらうという役割にだんだんシフトしていきました。


雑貨やイベントを入口に
自然のよさを伝えたい。

 現在は「和気楽」というネットショップと、自然体験プログラムや工作教室を開催する「ワキラクラブ※」を主人と二人でやっています。主人とは樹木・環境ネットワーク協会の講座で知り合ったので、価値観も共通するところがあって、以前から自然とのつながりの中で生きていく生活をしながら、そういう人が増えていくようなことができるといいねと話していました。今はその入口にいるという感じです。

 自然雑貨のお店を始めたのは、自然とか五感とかいってもピンとこない人が案外多いとわかったので、さわり心地がよかったり、音を楽しんだり、リラックスしたりほっとしたりするものを通して、自然への興味につながればと思ったからです。ネットや展示会で探して、自分が納得できるものだけを扱っています。

 「ワキラクラブ※」でも、今年は春にネイチャーゲーム体験、6月に工作教室をやりましたが、リラックスするための日帰りツアーみたいな感じで参加してもらって、結果的に自然のよさを伝えられたらという思いで取り組んでいます。最終的には、「コロット」さんのような、訪れただけでメッセージが伝わる場所に拠点をつくりたいと思っているのですが。

 


やりたいことと
人が求めることを
マッチさせるために。

 主人は去年の3月、震災の後にそれまで勤めていた会社をやめました。ストレスの多い仕事で、日に日に消耗していく姿を見ていて、思わず「やめたら」と。今は「和気楽」「ワキラクラブ※」の他に、お借りした畑で野菜を作ったり、以前からやっていた「トトロのふるさと基金」でのボランティアや、木工の勉強などもやっています。畑作りはほとんど見よう見まねですが、野菜は買わなくてもすむようになりました。
やりたいことをやっていければいいといっても、人が求めているものとマッチしなければ続けられません。いいねと思ってくれる人の力で、こちらもちょっと食べさせてもらえるのが理想ですが、もっといえば、こういう価値観でも食べていけるというモデルになれたらと思っています。

 わかる人だけわかってくれればいいという時代は終わりだと思います。こだわりはだいじですが、ある程度近づいていくことも必要だし、やってみたいという気持ちをおこさせるような働きかけを継続的にしていくことも重要です。1回目はダメでも、タイミングが合えば次は参加してくれるかもしれないし、うちとは関係ないところで何かを発見したり始めたりしてくれるかもしれない。そういう刺激を与えるようなことばやデザインが必要だと、今痛感しています。

 基本的には堅苦しくならないように、自然は本当にどこにでもあって、それを感じられるような感性があるといつでもしあわせな気持ちになれるし、そういう生活は素敵ですよと伝えていきたいんですね。ネットでもいろんな情報を発信してるんですが、いちばん反響があったのは、切り口の穴がハート型になったオクラの写真でした。自然はいいよということばには反応がなくても、これカワイイでしょというと共感してくれる人がいる。だから今、より多くの人に伝わるようなデザインやキーワードを、二人で一生懸命考えています。

 


※現在は千葉県君津市で「和氣楽-感じる・つくるをあそぶラボ-」として活動されています。

取材協力 コロット:埼玉県所沢にある古民家付き農園

(2012年9月発行、聚レター122号より)

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