鳥類に詳しいカワセミ先生 川瀬和江さん
「はてな」を持っていると
自然が、人が教えてくれます。
こういう観察会が
やりたい!が原点。
この前「外来種」の観察会でリーダーデビューしたんですが、その前に1年ぐらいサブリーダーをやっていたので、他のスタッフともうまく連携がとれて楽しい観察会になりました。歌やギャグをはさんだり、ふざけてると思った人もいたかもしれないけど、ああいうのも観察会の楽しさじゃないかと思っています。嬉しいのは、参加者の「え~、知らなかった~」っていう声が聞けた時かな。私より知識や経験が豊富な人もいるけど、相手は自然だから、その日、そのメンバーだから気づけることもあるわけ。「私も初めて~!」って一緒に喜べたら最高ですね。
もともと生き物が好きで、高校では生物部に。そこで2年先輩の主人と出会って、主人は農大の植物、私は短大の畜産を同じ年に卒業して、すぐに結婚しちゃいました。出かけるといえば動物園や植物園、旅行なら信州の山やお花畑で、生物部の活動が今も続いている感じです。
結婚してからは、旅先で観察会に参加したり、地元の野鳥の会に入ったりしてたのですが、ある時、私にとって理想的な観察会を体験したんですね。冬の軽井沢でマジックミラーの小屋の中から鳥を観察するというものだったんですが、真っ白い息を吐きながらじっと待っている時に、ガイドさんが温かいミルクティーとマカロンを出してくれて、それがおいしくて…。私もこういう観察会をやりたい!手作りのお菓子で!そんな夢の入り口にやっと立てたという感じです。
自然を学ぶと
見え方が変わる。
聚との出会いは3年前。3年かけて緑花文化士※をとった後で、ちょっと天狗になってたんですね。グリーンセイバーのことを知って、これも楽勝だろうと申し込んだらすごく難しくて。合格はしたんですが、たぶんギリギリだったと思います。
グリーンセイバーが他の資格と違うのは、生態系のシステムとか、自然のいちばんだいじなところを基礎から学べて、応用がきくこと。花や鳥の名前を覚えるだけなら、図鑑があればひとりでもできるじゃないですか。でも、なんでここにこの花が咲くのかとか、今週会えた鳥に来週だともう会えないのはなぜかとか、そういうこともわかるようになるんですよ。前は「あ、イチゲの花だ」と名前がわかることに満足してたのが、グリーンセイバーになってからは、ここにこのイチゲが咲いている貴重な一瞬に立ち会えたというありがたみがわかって、感動の深さが全然違うんです。そういう意味で私は、マスターをとって考え方が全部変わりました。
勉強すればするほど、自然が見せてくれる表情が違ってくるんですよ。何年も通ってるのに見えてなかったことを、フィールドが教えてくれる。それが本当に楽しいんですね。この楽しさをひとりでも多くの人に知ってもらいたい。インストラクションもそんな気持ちでやっています。
答えに出会う喜び。
一緒に探す楽しさ。
聚のいいところは、いろんな専門家がいること。観察会だけやってる団体だと、どうしても序列ができたりするんだけど、聚ではいろんなことをやっててみんな得意分野が違うから、自然と謙虚な気持ちになれるし、誰も偉ぶったりしない。私も、普段はパートのおばちゃんなのに、先生、先生とかいわれて、勘違いしそうになる時があるんだけど、そのへんのバランス感覚は絶対なくしちゃだめだと思っています。
自然が好きで、もっと詳しくなりたいと思うなら、まず近所を散歩しながら、いろんな「はてな」を作ってほしいですね。「はてな」を持ち続けてると、必ずどこかでその答えに出会えるし、その時の喜びって他に比べるものがないくらい大きいから。誰かと話してる時にその答えが出ることもあるし、そんなことを一緒に話せる「共通言語」をもった友だちがいると楽しいですよ。
※緑花文化士:公園緑地管理財団の「緑・花の文化知識認定試験」の特級に3回合格すると与えられる資格。平成21年度で終了。
(2013年12月発行、聚レター127号より)
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