二宮に根ざした保全活動を 磯川省三さん
自分自身を高めたり、興味の幅を
広げてくれるような活動がいいですね。
広げてくれるような活動がいいですね。
工場緑化に携わった
ことからGSを取得。
もともとは土木の仕事をしていました。高度経済成長期でインフラの開発、開発っていう時代でしたから、どちらかというと自然破壊!?(笑)の方ですね。それが落ち着いて、「敷地の一部を緑化するべし」という法律ができた頃、東京湾沿岸に工場を建設する時には緑化や造園に携わるようになりました。十数万本ものタブ・カシ・シイなどのどんぐりポット苗の植栽工事を担当し、さらにCO2とか地球温暖化もいわれる時代になって、ますます環境への問題意識が高まったのです。
グリーンセイバーを知ったのは、家の近くのたまたま行った「小田原フラワーガーデン」に置かれていたパンフレットを見て。造園施工管理技士とか測量士とか、土木関係の資格をけっこう持っているのでこれも取ってみようかなと・・・、あまり準備せずにベイシックを受けたら見事に落ちました(笑)。それで勉強しなおして、ベイシックを取ってから現場にも出てみようということになって、家から近い二宮フィールドに最初から通うようになってもう14年目になるのかな。マスター試験の論文では、「今、二宮のフィールドで活動中・・・」のことをアピールしたら合格しました。
二宮フィールドの
楽しみと課題。
楽しみと課題。
普段は雑木や竹(マダケ)を伐ったり草を刈ったりといった作業や、農家の方のミカン栽培の支援作業が中心だけど、二宮では季節ごとに楽しみがあって、春はフキノトウ、木の芽、タラの芽のてんぷら、6月にはタケノコを採る、7月は青竹の樋でそうめん流しです。10月には下の畑からサツマイモ・サトイモ・ラッカセイ等を掘って来ての収穫祭、11月末はミカンの収穫、12月は杵と臼を使っての餅つきです。
農業の経験はなかったんだけど、フィールドの下の畑で見よう見まねの方法やネットで調べたりして野菜などを勝手に作って楽しんでいる。ここは畑に不適な土壌でしたが、竹を燃やした灰を混ぜ込んだりして土が段々よくなってきたので、畑仕事がますます面白くなってきました。
フィールド活動で日頃気を付けているのはやはり安全面ですね。私自身は仕事柄、安全意識は高いと思うんですが、加齢によるのだろうが以前は難なく登れた斜面がきつくなってきたり、とっさの時に思ったように動けなくてヒヤッとすることがあります。参加者には私より年長の人もいるし、初心者だと伐った木や竹がどこにどう倒れるかイメージできないとか、そもそも安全の意識が違うんだよね。誰でも参加できるのがこういう活動のいいところだけど、事前に安全教育を徹底するとか、フィールドごとに、ここは初心者向け、中級者向けと分けるとか、あるいは本人の適性に応じた割り振りを行うことが必要かなと思います。
やりたいことが多くて
時間が足りない。
時間が足りない。
こういう活動をしていると、今まで名前も知らなかった雑草でも生き残るための戦略があることや、生態系の中では重要な役割があることがわかってくるのでもっと勉強したくなります。さらに、最近はフィールドの地元のことももっと知りたくなり、各種施設や店舗を訪れたりもしました。今年は「西湘歩け歩け協会」にも加入しましたので健康増進を図りつつ、ほかの町の公園や花木、名所・歴史遺産等巡りを行います。こんな時、花木などの薀蓄をちょっと皆さんに紹介できれば楽しいひと時が持てるかなと考えています。
グリーンセイバーのテキストにも神話の話が出てくるけど、二宮でみかんの栽培が盛んなのは弟橘媛(おとたちばなひめ)の伝説と関係があることも知りました。また、フィールド近くの神社で一月七日に篠竹で作った弓矢で的を射て農作の豊凶を占う神事を行っているのですが、鎌倉時代から八百年以上も続いているもので頼朝も関係していたと知って驚いた次第。このように名もない場所の歴史探訪も楽しみです。
また、尊崇している二宮尊徳翁は「松材に見習え」と木になぞらえて人の生き方を喝破していますが、「風雨に耐えて生長したからこそ良質な木材になった、この道理で人も困難に耐えてこそ良き人材になる。」という意味だそうです。このように、何でも「植物」にひっかけて考えてみると、いろいろ興味の幅が広がっていくから楽しいよね。グリーンセイバーは、その入門編として最適だと思います。
私の生まれは父親が林業関係の仕事をしていたので岐阜県中津川です。育ちは静岡県御殿場ですが、農村地帯で山や川、田圃の中を遊び回っていたから、今こういうことが楽しいのはその影響もあるのかなと思います。
昨年、映画「Wood Job!」をみて大いに笑いました。その映画の効果かな?林業男子や林業女子が増えたと聞いています。若い人にはいろんな体験をして欲しいんだけど、林業は3K職場。待遇も悪いと聞いているので、せっかく就いてもじきに辞めてしまうのではないかと心配です。だから、林業に係る仕事が持続可能な状態にするには、国や自治体等、行政のそれなりの優遇策が必要だと考えます。われわれグリーンセイバーとしても、聚やNPOなどを通じて国、行政当局に強く働きかける活動もしなくちゃいけないかなと思っています。去年、完全にリタイアしたので、色々な活動や趣味に専念できると思っていますが、そんなこと考えていると時間がいくらあっても足りないんだよね。
(2015年3月発行、聚レター132号より)
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