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2019年6月25日 (火)

環境・教育・芸術を つなげていきたい 山本裕加さん

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観察会やイベントのスタッフとして活躍する一方で、町内会など地域コミュニティでもボランティアとして活動する、グリーンセイバーの山本裕加さんにお話を伺いました。

 

 

 

いろんな現場を体験しながら、やりたいことに近づけたら。


網を持って走り回った
夏休みの思い出が原点。

 住んでたのは東京の江戸川区なんですが、夏休みは毎年、外房の大原の近くで1カ月ぐらい過ごしてたんです。とにかく生きものが好きだったので、網を持って田んぼや畑、沼みたいな水辺を走り回って、タナゴをとったり昆虫をとったりしていました。そこでの日々は私の中で一番輝いている思い出です。

 中学、高校、大学は自然とはほぼ無縁の生活を送ってたんですが、ムツゴロウさんに憧れて北海道で働いてみたいとか、高尾山で暮らしたいとか考えたりしていました。結局、普通の、むしろ自然とは対極の会社に勤めたものの、自分がしていることは消費でしかなくて、地球や自然の循環の中に還元されていくことではないなぁという思いは、千葉での思い出とともに、たぶんずっとあったんだと思うんですね。

 そんなときに、たまたま中西さんがラジオでグリーンセイバーの話をされているのを聞いて、眠っていたものがポッと目覚めたような感じに。けっこうギリギリの時期だったんですが、よし取っちゃおうと思って、春から勉強を始めて、その冬にマスターまで取りました。


テキストと実体験が
結びついてわかること。

 アドバンスまではテキストと過去問をしっかりやればなんとかなるけれど、マスターは実地の部分がどうしても必要で、フィールドでお世話になった経験に助けられました。私みたいにバックグラウンドがない場合は、用語を聞いてもイメージできないので、単語だけ丸暗記することになるんですね。何かを覚えようとしたとき、それにひも付けされた記憶があれば、直接関係ないように見える知識や風景や、そのときのエピソードなどが全部一緒になって助けてくれるので、全然違うんです。

 テキストを勉強することと、フィールドで文字にならない情報や好き嫌いといった感情の部分を耕すことをパラレルにやっていくと、それらが結び付いたときにいい循環ができあがって、お互いにうまく走るようになると思うんです。なので、あまり難しく考えないでフィールドや観察会に出かけて行って、こんなところにこんな花が咲くんだなとか、落ち葉がふかふかしてて気持ちいいなとか、そんなことを感じて、じゃあどうしてここは気持ちいいんだろうとか、どうやってこれを維持してるんだろうとか、そこから扉が開いていって、どんどん知識を広げていくみたいなかたちで楽しむことが大事かなと思います。「やりたくてやってる」ことって、面白くてどんどん勉強が進んじゃう(笑)


環境・教育・芸術を
つなげていきたい。

 中学生と小学生の男の子がいるので、やっぱり教育も気になります。中学生の里山学習のお手伝いをしたとき、ひとりの男の子が、なんでこんなことやらなきゃいけないんだってブツブツ言ってたんですが、そのうち笹船を一生懸命作り始めて(笑)森の中で見上げると木と木の間に光の道ができているのは、葉っぱ同士がコミュニケーションをとってるからだよと話すと、ちゃんと聞いてくれました。中学生は表面に騙されないで、彼らが持っている引き出しにつなぐことばをうまく見つけてあげることが大切だなと思います。本当は中学生にこそ里山の作業をやってほしいんですよね。部活やゲームや受験勉強のことをしばし忘れて、作業に没頭できたらすごくいいと思います。

 地域では町内会の環境衛生のお手伝いと、夏祭りの実行委員としてゴミの担当をしてるんですが、ゴミも私のテーマのひとつです。海の森の探検ツアーでも、眼鏡をかけて白衣を着た「ゴミ博士」がゴミを分別するという設定でクイズを出したら、予想外に喜んでもらえました。あと、趣味で音楽活動をちょこっとやっているので、こういうのもそのうちつなげられたらいいなと思ってるんですが、話がどんどこ広がって、いくら体があっても足りないので、10年後ぐらいの話かなと思っています(笑)

 

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ライアという竪琴を手にする山本さん。

 

(2016年6月発行、聚レター137号より)

 

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