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2019年7月 5日 (金)

里山保全技術の体系化を目指して 鶴田史朗さん

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リタイア後にグリーンセイバーとして活動を始めたご自身の経験をもとに、里山保全技術者を養成する「里山林塾」を立ち上げた鶴田史朗さんにお話を伺いました。

 


樹木の魅力に
気づかせてくれた
六甲山のヤマボウシ。

 

 出身は鹿児島で、まさに里山の中で育ったんですが、大学入学時に東京に出てきてからは自然とは無縁の生活をしていました。40代の終わり頃、そろそろ体を動かさないといけないなと思って、その頃神戸に住んでいたので週末ごとに六甲山に登り始めたんです。それまで木に咲く花なんて桜と梅とモクレンぐらいしか意識したことがなかったんですが、あるとき山の中でヤマボウシを見てとても感動したんですね。それ以来、本を読んだり周りの木を見たりして、街路樹ぐらいは見てわかるようになりました。


 東京に戻ってきてから、よく散歩していた武蔵野公園のサービスセンターで、グリーンセイバーのパンフレットを見つけたのが聚を知ったきっかけです。せっかくだから体系的に勉強してみようと思ってガイダンスに参加。すっかり気に入って、その年は予定が合わなかったので、次の年にベイシックとアドバンスを取得しました。

 

 

 

すばらしい出会い。
組織としての課題。

 

 1年目は聚がどういう組織か知りたくて、時間がとれる限りいろんな活動に参加しました。いちばん印象的だったのは、すばらしい人が多いこと。リタイアしてからこういう人たちとコミュニケーションがとれるようになるとは全く期待していなかったので、これは聚の大きな魅力だと思います。


 フィールドで面白かったのは、中学、高校時代に学んだ理科の知識が役立つこと。東京へ出てきて50年以上たちますが、学んだことがこんなに役に立つと実感したのは初めてでした。知識をうまく使うことで安全に作業をしたり、ムダな力を使わずに作業ができたりする。先輩たちがそういうことを実践しているのを近くで見ながら学べるのも、非常に面白かったですね。


 ただ、私自身、外資系企業でマネンジメントの仕事を長いことやってきたもんですから、組織の管理運営という観点から見ると気になるところはあります。組織である以上、何かを成し遂げるという目的に向かってベクトルを集約したり、活動を続けるための資金調達の仕組みをつくることも必要だと思うんですが、そのへんに課題があるように感じています。

 

 

 

里山保全技術者の
育成を目的とした
里山林塾を開講。

 

 里山保全技術に関しては、いろんな機関が出している本や資料をかなり読みました。リスク管理については、ビジネスの世界でも20年ぐらい前からかなり研究されていて、聚の安全管理マニュアルもよくできていると思います。ところが、実際に山の中でする作業については、どの資料も下草刈り、枝打ち、間伐、かかり木の処理といった個々の作業を順番に書いているだけで、体系化できていないんです。聚でもフィールドごとに蓄積されたノウハウはあると思うんですが、知識や技術の共有が難しいので、組織力の強化につながりにくいんですね。


 5月に開講した里山林塾は、作業の目的や方法をきちんと理解して、安全に続けられる里山保全技術者を育てるための講座です。経験豊かな先輩GSを講師に迎えて、座学と実習で基礎技術を学びます。1年間のカリキュラムを組むにあたって私なりに工夫したのは、作業の種類を林床整備と林木整備に分けたこと。林床をうまく整備するために必要な技術と、林木を整備する技術はまったく違いますし、発生するリスクの種類、危険度も違いますから、分けて考えた方が理解しやすいと思います。ここで基本的な技術を身につけてもらって、次のステップへ進んでもらえたらと考えています。


 私は団塊の世代なんですが、良くも悪くも我々とともに世の中が大きく変化し、結果的に自然がこれ以上もたない状況を作り出してしまったので、どうすれば持続可能な状態にできるのか、みんなで考えなければいけないと思っています。いろんな活動がありますが、自然に興味のある人、自然はすばらしいと思う人は、日本の美しい里山景観を維持するための活動にぜひ参加してほしいですね。

 

 

(2017年6月発行、聚レター141号より)

 

 

 

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