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2019年7月 1日 (月)

文系のアプローチで自然を読み解く 田島清志さん

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2001年にグリーンセイバー検定を受けて以来、当協会の活動に数多く参加し、マスター会の取りまとめ役でもある田島清志さんにお話を伺いました。

 

64年以前の東京の
原風景を追い求めて。

 

 生まれてからずっと東京です。実家は目黒で文房具屋をやってたんですが、当時はまだ野っぱらがあって生きものがいて、田舎の子と同じような遊びができたし、商店街にも活気があったんですね。そういう環境が64年のオリンピックを境にどんどんなくなって、なんとかしなきゃという漠然とした思いがあったんでしょうね。地方の何とか市や物産展を見ると血が騒ぐのも、そういう刷り込みのせいかもしれません。


 大学卒業後に入ったのが、ビジネス書というジャンルを作った出版社で、法律や経理から歴史、科学まで、あらゆるジャンルをわかりやすく解説するビジネスマン向けの本を作っていました。経済成長期でもあり、毎日夜中まで仕事するような生活だったんですが、2000年に健康診断を受けたら病気がみつかって即入院。結局、2002年に退社して、それ以来フリーです。依頼があれば何でもやりますが、山科鳥類研究所の山岸哲さんの本や「昆虫雑学事典」なんかも作りました。

 

 

 

自然と向き合うことで
助けられた療養中。

 

 グリーンセイバー検定を知ったのは病気療養中。薬の副作用で歩くとフラフラするような状態でしたが、これならできるかとセミナーに参加したんです。検定には合格しましたが力仕事はできないので、観察会の旗持ちをやったりしていました。


 今も薬を飲んでいるので、活動できない時期があったり、急に具合が悪くなってドタキャンしたことも何回かあります。でも自然の中でみんなと何かやってると、気がまぎれてあまり意識しないでいられるんですね。何も目標がなかったら、どっかでつぶれたかもしれません。だから大げさにいうと、命を助けてもらった感じです。


 マスター会は第1回合格者を中心に大垣さんが作ったんですが、京大の芦生演習林や三島の函南原生林、ニコルさんのアファンの森に行ったり、メンバーも意欲的で活動も活発だったんです。だけど10年もたつとそれぞれ事情が変わって、抜ける人が出てきて、ずっと続けていた僕にお鉢がまわってきたんですが、あんまり知識も活動力もないので、みんなで聚のフィールドへ行って案内してもらったり、そんなことをしていました。


 そのうち中西さん、岡本さん、深串さんといったメンバーが入ってくれて、おっかなびっくりやってた観察会もGS企画としてできるようになったので、マスター会では山梨でのオオムラサキ観察会や裏木曽のヒノキ林観察会など、遠征したり、ちょっと特殊なテーマのものをやってる感じです。今後は、マスターが講師になってアドバンス、ベイシックの人たちを教えるという、お互いのスキルアップにつながる勉強会や観察会できないかと準備しています。

 

 

 

自分にとって
気持ちのいい場所を
みつけてください。

 

 僕は理科系じゃないので、樹木や昆虫を見ても、科学的なアプローチじゃなくて意味を読み取ろうとしちゃうんですよ。こうだったらいいなという願望を言ってミスリードしちゃうこともあるんだけど、一見無秩序な木々の重なりにもルールみたいなものが見えると、人って安心するんですね。時々、自然の中で何かを見て、こういう姿が命そのものだなぁとすごく惹きつけられることがあって、うまく説明できないんですが、そういう感覚を共有できる観察会をやるのが夢ですね。


 肉体労働はダメだけど、フィールドにはなるべく行きたいと思っていて、三輪と二宮には月1回は行ってるかな。あと海の森も最初から見てるから、どういう風に変わっていくか見ていきたいし、他のフィールドにも年に1回は行きたいと思っています。


 フィールドも最初の頃はどこから手をつければいいのかわからないような感じだったけど、整備のノウハウとともに里山経営力や外に向けて発信する〝森の教育力〟みたいなものが育って、草刈りに追われる状態から一歩抜け出した感じがします。


 自分の森、自分にとって気持のいい場所を持っている人は少ないと思うんですよ。これから何か始めたいという人には、聚にはそれがあります、案内できる人もいます、行ってみれば確実に新しいものが得られますよ、と言いたいですね。

 

 

(2017年3月発行、聚レター140号より)

 

 

 

 

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