第3回 3つのW
小笠原は日本本土から、ガラパゴスは南米エクアドル本土から、ちょうど1000km離れた海洋中に位置しています。海底火山の活動で島ができたばかりの時には生物はいなかったはずなので、今いる生物たちはどうやって島に渡ってきたのでしょうか。推定される経路は、海流(Wave)、気流(Wind)、翼(Wing)の3つのWです。
まず、種子や実が海水に浮く海岸植物や流木の中に巣食う昆虫などは海流に乗って流れつくでしょう。流木が「天然の筏」となって小動物を運ぶ可能性もあります。
次に、翼をもつ鳥類やコウモリ、翅をもつ昆虫類、微小な種子や胞子をもつ植物は、自力で、あるいは気流に乗ってやってくるでしょう。3つ目の翼は、多く植物の種子が鳥に食べられたり、羽に付着したりして運ばれることを指します。
ただし、コウモリ以外の哺乳類やヘビ、カエルなどは海を越える術がないので、一般に海洋島には存在しません。また、3つのWで渡る可能性がある生物でも、実際には1000kmの海を越えることは至難の業であり、偶然に島に辿り着く頻度は数万年に一度というような小さなものでしかありません。そのため、海洋島の生物相は初めから偏った種類組成をもち、全体の種数も少ないのが特徴です。
ちなみに、ガラパゴスには例外的に固有のヘビが生息していますが、これは、ペルー海流が本土からガラパゴスに直行するため、「天然の筏」に乗って渡るチャンスがあったためと考えられます。沖縄には猛毒のハブがいて森の調査は大変ですが、小笠原にはヘビがいないのでとても気が楽です。
(初出:2017年11月10日)
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