第4回 島症候群(アイランド・シンドローム)
島症候群(アイランド・シンドローム)とは、ガラパゴス、ハワイ、小笠原など世界の海洋島に共通して見られる生物学的な特徴ある現象を総称する用語です。個々の種の生理・生態、生物進化のあり方、生物相や生態系としての特徴など多様な内容を含みます。
この言葉を最初に提唱したのが、アメリカの植物研究者であり、世界中の海洋島をめぐって共通する特徴を見出したカールキスト(Sherwin Carlquist)博士です。彼の著した次の3冊はこの分野のバイブルともいえる本で、興味深い事例が多数紹介されています。
『Island Life』(The Natural History Press, 1965)
『Hawaii-A Natural History』(The Natural History Press, 1970)
『Island Biology』(Columbia University Press, 1974)
私が小笠原の研究を始めたばかりの大学院生の時にカールキスト博士が来日され、大学で行われた特別講義を聞いた覚えがあります。博士はその時に小笠原も訪れています。博士のお母さんもなかなかの方で、なんと『Festivals of Japan (日本の祭り)』という本を出版しています。
以下に、博士が島症候群として列挙した内容を私なりに整理したものを載せておきます。これらの多くは、これからこのコラムで詳しく取り上げていく予定です。
(1)生物相が貧弱である、(2)生物相が非調和(アンバランス)である、
(3)独自性(固有性)が高い、(4)属島ごとの固有種が多い(1島固有種)、
(5)適応放散が起こりやすい、(6)食物連鎖が単純である、
(7)生態的解除現象が見られる、(8)植生遷移が単純である、
(9)移動(分散・散布)能力が低下する、(10)防御能力が低下する、
(11)新ニッチを開拓する、(12)草本が樹木化する、
(13)生物が大型化または小型化する、
(14)目立たない花が多く、雌雄異株の割合が高い、
(15)希少性が高い(絶滅しやすい)、(16)外来種が侵入しやすい。
(初出:2017年12月8日)
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