第5回 「ガラパゴス化」について
いきなり閑話休題。今回は本筋と離れて「ガラパゴス化」という言葉について考えてみます。
2010年ごろより、日本国内に閉じた携帯電話(通称ガラケー)のあり方を批判する文脈で「ガラパゴス化」という言葉が使われはじめ、今では日本社会の閉鎖性を表すフレーズとしてすっかり定着してしまいました(国語辞典にも掲載)。外の世界に目を向けず国内に閉じこもって独自の発展を遂げる日本の産業や文化のあり方を、島の中で独自の進化をとげたガラパゴスの生物世界に例えるのは、一見筋が通っているように見えます。
しかし、よく考えてみるとこれは「例え」としておかしいのではないでしょうか。
「ガラパゴス化」という言葉は、外に目を開かず内に閉じこもる状況を揶揄し、否定的にとらえるフレーズとして用いられるのが特徴です。一方で、ガラパゴスは、1978年に世界自然遺産第1号に登録されたように、世界的には人類共通の宝として永久に保全されるべき貴重な場所として認識され、世界中のエコツアー客の憧れの地にもなっていて、ガラパゴスの独自の生物世界を否定的にとらえる考え方は全くありません。
その意味で、「よいこと」(ガラパゴスの生物進化)を「よくないこと」(ガラパゴス化)の例えに使うのは、論理的におかしいと言えます。「ガラパゴス化」という言葉使いそのものが「ガラパゴス化」(日本独自の用法)しており、ガラパゴスの自然に対する真の理解を妨げているように思います。
流行語として「ガラパゴス化」という言葉を使うことは、決して格好よいことではなく、本当は恥ずかしいことなのです。
(初出:2018年1月12日)
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