第7回 海洋島のでき方 ②島弧活動
小笠原諸島はまさに島弧活動によってできた海洋島のモデル的な事例です。今から4800万年ほど前に、太平洋プレートの一部がフィリンピン海プレートに沈み込みを始めました。沈み込んだばかりのプレートが比較的浅い地下でマグマとなり、海底火山から噴出された溶岩が積み重なってできたのが聟島列島と父島列島です。
これらの島々には、沈み込みの初期だけに形成される無人岩(ボニナイト)と呼ばれるマグネシウムやクロムを多く含む珍しい岩石が見られます。4200万年前頃になると沈み込みが進んでより深い地下でマグマが形成されるようになり、より一般的な安山岩質の溶岩が噴出されるようになります。こうしてできたのが母島列島です。
ただし、各列島がいつ頃から現在のような島となったのかははっきりしていません(少なくとも島として数百万年は経ていると推定されています)。その後、火山ができる位置(火山フロント)が西方に移り、聟島・父島・母島の3列島(小笠原群島とよぶ)は火山活動から切り離されます。
ちなみに、小笠原群島は当初、赤道の近くで成立しましたが、その後はフィリピン海プレートに乗って年間数cmずつ移動し、現在の位置(北緯27度)までやってきました。現在も北北西に向けて移動を続けており、いずれは日本近海の海溝に沈む運命にあります。
一方、母島から250kmほど南方の海域で、数万年~十数万年前に現在の火山フロントの上にできたのが火山列島に属する北・中・南硫黄島です。これらの島はできたばかりなのでまだ浸食が進んでおらず、とくに南・北硫黄島は円錐形の切り立った山体をもち、標高が900m前後に達します。
さらに、同じ火山フロントの上で父島の西方130kmにある西之島では今まさに島が誕生しつつあります。2014年からの噴火は記憶に新しいところです。このようにプレートの沈み込み開始の時代から現在に至るまで一連の島弧活動がそろっていて、しかもその痕跡が陸上で観察できるのは世界でも小笠原だけと言えます。
さらに最近の研究によると、島弧活動で島ができる際にマグマの成分が分離して将来の大陸地殻となる岩石が生み出され、最終的にはそれらが集まって大陸の元が形成されたと考えられています。西之島は地球の大陸がどのように形成されてきたのかを解明する貴重な材料を提供する場所としても注目されています。
(初出:2018年3月23日)
« 第6回 海洋島のでき方 ①ホットスポット | トップページ | 第8回 海洋島のでき方 ③大陸移動の落ちこぼれ »



コメント