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2023年6月21日 (水)

第14回 生物の名前(1)学名

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オガサワラヤモリ 学名は Lepidodactylus lugubris


 科学的に生物を扱う場合には、一つ一つの種の名前を正確に知らねばなりません。大航海時代以降、ヨーロッパには世界中から膨大な数の動植物の標本が集まってきましたが、統一的な名前の付け方がなかったので、大きな混乱が生じました。

 そうした中、18世紀に活躍したスウェーデンのリンネは、二名法の学名を考案しました。二名法の学名は、「属名(近縁グループの名前)+種小名(個々の種に特有の名前)」からできており、日本人の苗字(家の名前)と名前(個人の名前)の関係によく似ています。名前を聞いただけでおおよその類縁関係までわかるので大変使い勝手がよく、現在までこのやり方が踏襲されてきました。

 また、当時の学問上の慣習から学名はラテン語で表記され、属名は大文字で始まる名詞、種小名は小文字で始まる形容詞(またはそれぞれの相当語句)と定められています(その他、細かいルールが「国際命名規約」という分厚いルールブックに載っている)。具体例を挙げれば、ヒト:Homo sapiens (知恵のある 人の仲間)、チシャ(レタス):Lactuca sativa(栽培の チシャの仲間)となります。

 さらに、名前の付け方には先取権という重要なルールがあります。すなわち、同じ種に別々の学名が付けられて発表された場合には先に発表された方を採用するというものです。これ自身は妥当なルールですが、一度発表された学名は修正できないために少々困った事がおきます。江戸時代に長崎のイチョウがヨーロッパに紹介され、リンネはGinkgo biloba (二浅裂の 銀杏)と名付けて発表したのですが、Ginkyoの「y」が「g」と誤って伝えられたためにGinkgoとなってしまいました。

 最近は花屋さんで学名の属名をカタカナ書きで表す場合が多くみられますが(Impatiens:インパチェンス, Kalmia:カルミア, Nemophila:ネモフィラなど)、学名は世界共通の名前ですので、学名で覚えておけば世界中で通じる利点があります。日本では和名(次回に説明)で事足りることが多いので、研究者も植物の名前を和名でのみ覚えることが多いのですが、学名がわからないと外国人に説明するのに苦労します。

(初出:2018年10月19日)

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