第17回 分類体系
個々の種に学名を付けただけでは、書架にいろいろな内容の本が乱雑に並んでいるのと同じで利用上不便である。分類群ごとに整然と並んだ図書館のように、生物の種も整理され体系づけられていなければ使い勝手が悪い。ただし、生物学においては、進化的なつながり(類縁関係)を反映した系統分類でなければならないので、類縁の度合いを基準にして、近いものどうしを順次グループ分けしていく方法がとられる。
二名法を提唱したリンネ自身も種、属、綱、門を設定して体系化を試みたが、現在ではそれを発展させて、界、門、綱、目、科、属、種の7つの基本的な分類階級(カテゴリー)と適宜設ける補助階級とを用いて、生物の世界を体系づけている(動物と植物では補助階級の用い方が多少異なる)。ただし、一つの分類階級は必ず入れ子式に上位の階級に包含されていかなければならない(二重所属の禁止)。
ヒトを例にとれば、上位から動物界-脊椎動物門-哺乳綱-霊長目-ヒト科-ヒト属-ヒトと表される。動物では、門が共通した体の基本デザインをもつグループ(例えば、脊椎動物門は背骨をもつ)をさす。綱はいくつかの大きな特徴で分けられるグループ(例えば、哺乳綱は胎生、哺乳、体毛などで特徴づけられる)、目と科は比較的直感で分けられるグループ(例えば、霊長目:サルの仲間、長鼻目:ゾウの仲間、ネコ科:ネコの仲間など)、属は比較的新しい時代に共通の祖先から別れた近縁の種の集まりである。
生殖器官である花の構造を分類のおもな基準におく植物でも、基本的な位置付けは同じである。ただし、植物の網や目は一般に馴染みが薄く、科(例えば、バラ科やキク科)のレベルになると花の構造が似て直感でわかりやすくなる。
種は一応実在する単位として認められるが、属以上の分類階級はあくまで研究者が設定する抽象的なものなので、どの範囲を一つの科にまとめるかというようなことについて異なる説が並立することは避けられない。
(初出:2019年1月25日)
« 第16回 生物の名前(3)小笠原の植物名 | トップページ | 第18回 相同と相似 »



コメント