第39回 絶滅(1)絶滅の要因
新種の形成と種の絶滅は生物進化のコインの裏表であると言えます。今回からは絶滅に関する話題を取り上げます。
まず、種の絶滅(extinction)とは、この地球上からある種の全個体が消滅することです。当然、その種の分布も消失します。また、生息・生育していた生態系においてその種が占めていたニッチが空白化し、生態系の中での種間関係(食物連鎖など)にも影響が及びます。
ただし、特定地域の個体群の消滅についても絶滅という言葉を使う場合があるので注意が必要です(例えば、日本のトキの絶滅など)。種が絶滅する要因はさまざまですが、大きく次の三つ(細かくは12種類)に整理することができます。
(A)生物的要因(生物に関わる要因)-①進化の袋小路:形態や機能の特殊化、生息・生育環境の特殊化、特定他種との特異的な関係(共進化)、②他種との競合:ニッチの奪い合い、食料や住み場所をめぐる競争、③食物連鎖の変化:餌生物または捕食者の変質、④種間関係の変化:送粉昆虫の衰退など、⑤病気の流行。
(B)環境的要因(環境に関わる要因)-⑥環境の変動:長期的な寒冷化、温暖化、⑦異常気象:旱魃、寒波、台風、洪水、山火事、⑧地質的事象:隕石衝突、火山噴火、地盤の隆起・沈降。
(C)人為的要因(人為に関わる要因)-⑨開発:生息・生育地の破壊、消失、⑩生物の人為的移入:外来種との競合、⑪環境汚染:農薬、環境ホルモン、放射能、⑫狩猟・採集。
ところで、絶滅は二つの様式に分けられます。a:子孫を残さずに地球上から姿を消す「真の絶滅」(子孫を残さぬ絶滅)とb:元集団自身が子孫に姿を変える「発展的絶滅」(子孫を残す絶滅)です。
ウマ科の進化の過程においては、化石種を含めて20属が知られていますが、このうち、11属はaの子孫を残さない絶滅、8属はbの子孫を残す絶滅であり、この8属が祖先→子孫のつながりの中で進化して、現生の1属(ウマ属)につながったと推定されています。
上記の絶滅の要因のうち、人為的な要因による絶滅は、本来の生物の進化速度とは桁違いに早いスピードで起こるので、絶滅の様式では子孫を残さない真の絶滅を招くといえます。
(初出:2020年12月17日)
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