第42回 絶滅(4):大量絶滅2
今回は大量絶滅のもつ生物進化上の意味について考えてみます。
まず、ある1つの時代が続いている間は標準的な進化が進みます。標準的な進化とは、自然選択による優勝劣敗のプロセスであり、種の分化や特殊化、個々の種の絶滅などが繰り返し起こることをさします。この期間には、その時代を代表する優占グループがさまざまな環境に進出していってニッチを充足していくことが見られます。
ところが、時代の最後に大量絶滅が訪れます。大量絶滅は生物の種類や生息環境には無関係に多くの種を滅ぼすので、生き残るかどうかは偶然に左右される面が大きいと言えます。一般に、幅広くニッチを占めていた優占グループはほとんどが絶滅し、その結果、大規模なニッチの空白化が起こります。これは生物の進化にリセットがかかり、再びスタートが切られるかのようです。もっとも、パソコンのリセットのようにまったくのご破算になるのではなく、前の時代から生き残った種の中から次の時代を牽引するグループが誕生して、再び多様なニッチが埋められていくわけです。
標準的な進化の時代を必然的なプロセス、大量絶滅を偶然の支配するプロセスと考えると、生物の進化は「偶然と必然の繰り返しで織られる壮大なタペストリー」に例えることができます。もし、6600万年前に恐竜が滅びなかったら、哺乳類ではなく恐竜の仲間から人類のような知能の発達した生物が誕生していたかもしれません。その意味で、地球上の生物進化は1度限りのユニークなプロセスであると言えます。仮にもう一つの地球が誕生したとしても、同じような進化が繰り返され、人類が出現することはないでしょう。
(初出:2021年3月19日)
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