第48回 外来種問題(1)外来種とは
すべての種は、歴史的に定まった本来の分布地(原産地)をもっており、本来の分布地にいる生物をその地域の在来種と呼びます。ある種を人為的に、本来その生物がいない場所に持ち込んだ場合、その種は持ち込まれた場所(移入地)では外来種となります(「外来」は必ずしも「外国から」を意味しない)。
人為による生物の移動には、ペットや園芸植物など特定の目的で意図的に運ばれるものと、物資や他の生物といっしょに非意図的に運ばれるものがあります。生物にはもともと自然の散布力が備わっているので、人為によるものと自然によるものとを完璧に分けることはできませんが、人為による移動は本来ありえないような距離を桁違いに速いスピードで運ばれるという特徴があります。
外来種が野生化に成功する条件として、次の3つが上げられます:
①人為による新しい環境に進出:都市などの本来の自然界にはない環境、在来種の棲めない環境に収まる、
②自然の空ニッチへの進出:もともと在来種のいなかった空ニッチに収まる、
③在来種を駆逐して置換する:外来種が在来種を餌として捕食する場合や在来種と外来種が共通の資源をめぐって争う場合。
海洋島はもともと空ニッチが多い上、在来種は競争力に劣るので、外来種の侵入により在来種が絶滅に追いやられることがよく起こります。
また、外来種側から見て移入地で定着しやすい生態的特性としては、次のようなものが上げられます:
①環境適応の幅が大きい(撹乱に対応できる)、
②すぐれた分散能力、
③多産で繁殖力旺盛、
④自殖や栄養繁殖が可能(1個体でも定着できる)、
⑤広食性(餌の幅が広い)。
外来種が問題視されるのは、外来種によって在来種が悪影響を受け、本来の生物相が変質してしまうからです。一般には外来種がはびこると、在来種は減少したり消滅したりするため、その地域の生物多様性は減少します。また、各地でそういうことが起こると、どこにいっても同じような外来種ばかりが見られることになり、地球的規模で生物相の均質化と貧困化が生じることになります。これは現在の自然保護の大目標である生物多様性の保全とは正反対の忌々しき事態であるといえます。これが「外来種問題」といわれる理由です。
(初出:2021年8月26日)
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