第51回 外来種問題(4)小笠原の外来種の移り変わり(後半)
1990年代になると、小笠原の外来種問題は新しいフェーズに入りました。植物では、アカギが1983年の台風による攪乱後に母島で分布を急拡大し、在来林がアカギ林に置き換わりつつあったので、2000年前後よりアカギの駆除事業が始まりました。
ギンネムとリュウキュウマツも同様に駆除の対象となっていますが、以前はそれほど問題視されていなかったモクマオウが、崖の裸地や乾性低木林の岩場に分布を広げていることから、現在はモクマオウについても重点的に駆除が行なわれています。
1990年代にガジュマルコバチが侵入したため、戦前からあったガジュマル(絞め殺し植物)の種子の稔性が回復して、あちこちの在来種の樹冠上で実生や稚樹が見られるようになりました。同様に1990年代に侵入したニューギニアヤリガタリクウズムシは、父島の隅々にまで急速に分布を広げ、固有陸産貝類を捕食して壊滅状態に至らしめました。
また、グリーンアノールが在来昆虫を捕食して激減させていることも分かってきました。グリーンアノールは1980年代後半には母島にも持ち込まれて母島でも昆虫を捕食しつつあり、さらに2013年には無人島の兄島にも侵入していることが分かったため、現在、緊急の駆除対策がとられています。
クマネズミの害も再認識されつつあります。鳥類の卵やヒナを襲ったり、陸産貝類を捕食したり、植物の果実や実生を食べて更新を妨げたりしていることが分かってきたため、西島での駆除を皮切りにいくつかの無人島でネズミ類の根絶が図られています。
以上、2回にわたって小笠原における外来種の移り変わりを紹介してきましたが、2011年の世界遺産登録以降も、ツヤオオズアリ、オガサワラリクヒモムシ、バグム(貝食性コウガイビル)など次々と新たな外来種の脅威が迫っており、対策が追いつかない状況です。
次回から、いくつか代表的な事例を紹介します。
(初出:2022年11月19日)
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