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2023年10月 3日 (火)

第45回 絶滅(7)41年後の結果

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オオバシマムラサキ:小笠原で3種に適応放散したグループ


 小笠原の乾性低木林の中でも構成種の固有性が高く希少種の集中する、父島の中央山東平に設置した永久方形区の森林の41年間の変化を、4期に分けて紹介します。

第1期(1976-1986年):1983年の大型台風で林冠のシマイスノキやヒメツバキが破損し、一時的に林床が明るくなった。1980年の旱魃でアカテツの実生が激減する一方、1984年のシマイスノキの成り年で実生が一斉に発芽した。

第2期(1986-1997年):台風で破損した林冠は徐々に回復したが、第1期から減少傾向にあった希少種(とくにオオミトベラとシマムラサキ)が激減した。1984年、1993年に大発生した蛾の食害でアカテツの全階層の個体数が減少した。

第3期(1997-2007年):希少種の中でも比較的個体数の多かったシロテツやチチジマクロキでも減少が加速した。原因不明ながら亜高木性樹種のムニンネズミモチも激減した。一方、シマイスノキやヒメフトモモでは実生から稚樹に育つものが多く見られた。

第4期(2007-2017年):各階層で個体数の大幅な減少が見られた。とくに2016年の旱魃で実生、稚樹が減少した。希少種の減少傾向は止まらず、シマムラサキ、ナガバキブシはついに方形区から消失した。かつて林床に多く見られた草本のムニンクロガヤやムニンナキリスゲの衰退も著しい。1980年代から続いた松枯れにより外来種のリュウキュウマツは方形区からほぼ消失した。

 以上をまとめますと、まず、林冠構成種では、当初(1976年)の3本柱シマイスノキ、アカテツ、ヒメツバキのうち、シマイスノキは台風の影響以後徐々に個体数を減らし、アカテツも虫害で個体数が激減したのに対して、相対的にヒメツバキの割合が高まりました。ただし、これら優占種となる樹種においては実生や稚樹の成長も見られており、全体としては40年前の状態と大きく変わっていません。

 これに対して、もともと個体数の少なかった希少種(方形区内の15種ほど)では、いずれも個体数の減少が著しく、一方で次世代の実生や稚樹がほとんど育っていません。これまでの減少率から将来を予測すると、多くが50年以内に方形区から消失する結果となりました。中央山東平での消失は小笠原での絶滅を意味します。中央山東平の乾性低木林を外から眺めただけでは、40年前とそんなに変わったようには見えないのですが、モニタリング調査のおかげで危機的な現状をデータで示すことができたわけです。

 次回は希少種減少の原因について考えてみます。

(初出:2021年5月13日)

 

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