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2024年2月 5日 (月)

第72回 生態系の誕生:西之島

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ハワイ-キラウエアのハレマウマウ火口(レイが奉納されている)


 前回は歴史の新しい小笠原の島(火山列島)について述べましたが、今回は今まさに出来つつある島の話です。父島の西方70㎞ほどに位置する西之島は、2013年12月に噴火を始め、以前にあった小さな島(西之島新島)を飲み込んで現在も活動を続けています。この場所では1973年にも噴火があり、その時にできたのが西之島新島でした。

 西之島新島では噴火が止んだ後に生態調査が行われ、グンバイヒルガオなどの海岸性植物が定着し始めたことなどが報告されました。今回の噴火でも学術調査が行われ、溶岩が固まった場所にはさっそく海鳥がやってきて、植物の種子や昆虫などを運んでいるらしいことが明らかにされています。まさに生物のいない未開の土地(できたばかりの島)に新しい生態系が形成されていく過程が現在進行形で見られるわけです。このような場所は世界的に見ても貴重な存在で、島の変化を記録する学術調査はこれからも定期的に行われる予定です。

 さて、西之島についてはもう一つ地質学的に重要なことがあります。もともとできたばかりの地球には大陸がありませんでした。海洋地殻を作るのは玄武岩、大陸地殻を作るのは安山岩・花崗岩なのですが、ふつう地下でマグマができて海底に噴出するのは玄武岩であり、玄武岩は重いので海溝でプレートと一緒に沈んでしまいます。しかし、浅く圧力が低い場所で、しかも水のある環境でマグマが形成されると安山岩になり、噴出した安山岩は軽いのでプレートが沈み込む時に分離して地表に溜まっていきます。これが大陸の起源とされているのです。

 西之島は安山岩を噴出しているので、まさに大陸の形成過程を研究するのにうってつけの場所として注目されています。小笠原諸島は今できつつある島(西之島)から、歴史の浅い島(火山列島)、歴史の古い島(小笠原群島)まで、いろいろな段階の生態系を比較できる地質学的にもとても貴重な場所なのです。

(2023年8月書き下ろし)

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